じめじめした梅雨の季節など、気温や湿度が上がる際に気をつけなければならないのが食中毒です。
「食中毒を防ぐには冷凍がいいと聞いたけれど、本当に細菌は死ぬ?」こんな疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、食中毒を引き起こす細菌が凍結によって死滅するのかについて解説します。食品の解凍技術についても紹介していますので、解凍による細菌対策について知りたい方は参考にしてください。
目次
冷凍による微生物の損傷メカニズム
冷凍による微生物の損傷メカニズムは、氷晶形成による損傷、脱水による損傷、冷凍温度とスピード、冷凍と解凍の回数という4つの要因があります。
ここからは、冷凍されることにより微生物がどのように損傷していくのかについて解説します。
氷晶形成による損傷
細胞外の水分が氷点下となり凍結を開始し、冷凍の過程で水が氷へと変化する際に氷晶が形成されます。この氷晶が細胞の内外に発生し、微生物の細胞膜や細胞壁に損傷を与える要因となります。
氷結晶が細胞膜の構造を破壊し、細胞内の構造にダメージを与えることで微生物が損傷します。
脱水による損傷
冷凍中に氷結晶が形成されると、細胞内の水分が凍結し細胞の外へと移動します。これによって細胞内が脱水状態になります。
脱水により細胞膜の構造が変化し、正常に機能しなくなることが損傷の要因です。
凍結温度とスピードによる影響
凍結温度が低いほど、微生物へのダメージは大きくなります。マイナス35°C〜40℃の極低温では、微生物の代謝活動が完全に止まり、微生物の損傷が増大します。
また、冷凍スピードによる変化も損傷の要因です。冷凍スピードが緩やかな場合、大きな氷晶を形成しやすく微生物に対する損傷が大きくなります。
反対に、急速冷凍は小さな氷晶を形成します。科学的ストレスに細胞がさらされる時間が短いまま細胞が凍結するため、微生物への損傷が小さくなるのが特徴です。
冷凍と解凍の回数
冷凍と解凍を繰り返すことが、微生物に対する損傷を大きくする要因です。再凍結により新たな氷晶が作られ、繰り返し細胞膜が損傷を受けることで微生物が生きられなくなります。
冷凍の過程で細菌が乾燥・脱水状態になる頻度が高くなるほど、細菌細胞に損傷が大きくなり、生存率が低下します。
寄生虫と微生物の冷凍保存による影響
冷凍食品は長期保存ができるため、便利な食材として幅広く利用されています。しかし、冷凍保存すれば安全なわけではありません。
寄生虫や微生物は冷凍だけで死滅するわけではないため、冷凍によってどのような影響をうけるのかを知っておくことが大切です。ここからは、寄生虫と微生物の冷凍保存による影響と、解凍方法について解説します。
寄生虫と冷凍保存
サバ、アジ、サンマなどの魚介類に寄生するアニサキスは、冷凍保存によって死滅が可能です。
アニサキスの幼虫が寄生している生鮮魚介類を、冷凍や加熱が不十分なまま食べることで食中毒を引き起こします。アニサキスによる食中毒を防ぐには、マイナス20℃以下で24時間冷凍することが推奨されています。
豚肉に寄生するトリヒナ(旋毛虫)は、冷凍への耐性が高い寄生虫です。そのため、冷凍保存ではトリヒナを死滅させることができません。
トリヒナを死滅させるには充分な加熱が必要です。75℃で1分以上、中心部までしっかりと加熱しましょう。
微生物と冷凍保存
多くの微生物は冷凍すると増殖が抑えられますが、完全に死滅するわけではありません。大腸菌やサルモネラ菌などの病原性微生物は冷凍しても生存可能です。生存した微生物は食品が解凍されると再び活動を始め、増殖する場合があります。
ノロウイルスなど、ウイルスも冷凍に対して耐性を持つ場合が多数です。ウイルスは冷凍しても感染力が衰えず生存できます。そのため、調理や取り扱いの際にはしっかりと手を洗うなどの衛生管理を適切に行う必要があります。
細菌は冷凍保存でどれだけ死滅する?
前述のとおり、冷凍保存は細菌の増殖を抑える効果がありますが、完全に死滅させるわけではありません。
冷凍保存すると微生物に損傷が起こります。これにより少しずつ死滅しますが、その数はとても少ないため「完全に死滅した」とはいえません。一部の細菌は冷凍環境でも生存し続けます。
冷凍保存によって一部の細菌は死滅しますが、その割合は細菌の種類、冷凍温度、冷凍速度、保存期間によって変動します。多くの細菌は冷凍温度で休眠状態になり代謝活動が滞りますが、解凍することで再び活動を始める場合があります。
冷凍による食品への恩恵
冷凍による野菜の劣化を抑える方法にブランチング処理があります。ブランチングとは、凍結する前に90~100℃ほどの熱湯に漬ける、調理加熱の70~80%程度加熱することをいいます。加熱することで組織を軟化させ、凍結による細胞の破損を防ぐ効果があります。
また、冷凍保存によって栄養価が下がることもほぼありません。とくに野菜は、旬の時期に収穫したものを冷凍します。鮮度がよく栄養価が高い時期に冷凍処理するため、栄養価は高いまま保存できるといえるでしょう。
食品の解凍技術について
食品を解凍するには、流水、電子レンジや加熱調理、解凍機など、さまざまな方法があります。
食品が変化したり、時間がかかったりするため、解凍する食品に合わせて使い分けることがおすすめです。
流水での解凍
水解凍は、密閉した袋に食品を入れ、水を張った容器に沈めて水を流し入れながら解凍する方法です。流水のスピードを速くすることで短時間での解凍が可能です。
冷蔵庫での解凍よりも速く、加熱調理した食品の解凍に適しています。また、適切に行えば微生物の増殖を抑える効果もあります。
しかし、水を流し続けるなど少し手間がかかる点がデメリットです。また、味がついていない食品の場合、風味が落ちてしまう場合があります。
電子レンジ・加熱調理での解凍
加熱調理は、食材を凍ったまま煮たり焼いたりする解凍方法です。電子レンジは凍ったまま解凍モードで解凍します。
酸素反応が起こりやすい温度になる時間が短く、加熱することで酸素反応を起こさせません。そのため、食材の変化が起こらず質のいい解凍が可能です。
加熱調理ができる食材は、電子レンジや加熱調理での解凍に適しています。ただ、大きな食材の場合は中心まで熱が届きにくいため、加熱時間に注意する必要があります。また、加熱自体に適さない食材が入っている食品も、この解凍方法はおすすめできません。
解凍機での解凍
解凍機とは、蒸気が水になる際の凝縮潜熱を活用した解凍専用のマシンです。噴き出した蒸気がマイナス20℃から0℃の食材に接すると水滴になります。そこで500キロカロリーほどの熱量を与え、食品ごとに適切な温度で素早く解凍します。
温度と湿度を細かく制御することで、食品を均一に解凍可能です。大きな食品の解凍に適しており、食品の品質も保ちながら解凍できるというメリットがあります。
デメリットとしては、導入と運用にコストがかかる点です。また、操作やメンテナンスに専門知識も必要となります。
しかし、解凍時間の大幅な短縮により、納期の大幅な短縮が期待できます。解凍時の表面温度管理や排水設備の負担軽減も可能なため、衛生面やランニングコスト面では大きなメリットがあります。
業務の負担も軽くなるため、適切な食品管理が必要な企業の方はぜひプロトン解凍機の導入を検討してみましょう。
スピード解凍!業務用解凍機おすすめ3選
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会社名/商品名 | プロトンエンジニアリング株式会社 /プロトン解凍機 | 株式会社サンテツ技研 /DEPAK解凍機 | 新星冷蔵工業株式会社 /解凍プラント淡雪シリーズ |
システム規模 | 標準機:40kg、160kg 現場据付型: 500kg~大型 個別設計 | ~192kg | 100㎏~10000㎏ |
解凍時間 | 2㎏鶏肉:3時間~4時間 | 2㎏鶏肉:3時間~24時間 | 5時間~8時間 |
特徴 | 小型~大型、半解凍・完全解凍と 広い解凍ニーズに対応可能 既存冷蔵庫の改修提案が得意、輸送コンテナ仕様 相対湿度100%:特許技術 最速解凍:2kg鶏肉を3時間で完全解凍 一斗缶、ペール缶、ドラム缶 にも対応 | 既設の冷蔵庫に後付け可能。 設置場所に合わせて施工。 | 100㎏の比較的少量な冷凍品から10000㎏の多量な冷凍品まで5~8時間で急速冷凍 |
公式サイト | 公式サイトを見る | 公式サイトを見る | 公式サイトを見る |
まとめ
寄生虫や微生物が冷凍によって死滅するのかについてまとめました。食中毒の原因となる細菌は、冷凍により少しずつ死滅します。
しかし、マイナス18℃以下の低温では活動が停止するだけで、死滅しないことがわかっています。そのため、正しい解凍法を理解し、食品ごとに正しく保存や加熱することが大切です。
急速解凍機は、表面温度をコントロールできる解凍プログラムを備えており、タイマー制御によって解凍の温度や日時を調整することが可能です。
解凍機を上手に活用することで作業の負担が軽減し、食中毒を適切に防げるでしょう。
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プロトンエンジニアリング株式会社 /プロトン解凍機
引用元:https://proton-eng.co.jp/プロトンエンジニアリング株式会社の解凍機は、大量の食品を毎日処理する大型工場から、部分的な解凍を求める小・中型工場まで、様々なニーズに応えることができます。完全解凍から半解凍、小型標準機から大型機まで幅広く対応。特に解凍時間の速さは業界でも注目のポイントであり、ドラム缶や一斗缶、ペール缶など、多様な容器にも対応可能です。
また、解凍プログラムを利用することで、表面温度の管理が簡単になり、休日出勤の削減にも繋がります!
解凍ニーズに合わせた最適なソリューションを提供するこのメーカーに、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか?